こんにちは!
ろう付け.com 技術コラム、今回からはろう付けの特徴についてお話しします。
ぜひ最後までご覧下さい。
ろう付けの特徴
ろう付けには主に以下の3つの特徴があります。
– 高精度
– 高強度
– 高気密
今回はその中でも、二つ目の高強度について詳しく見ていきます。
高強度接合を実現
ろう付けは加工後のワークの外観などから、他の溶接と比較して接合強度が弱いと思われがちです。
しかし、実際は違います。
母材形状や接合面積などの設計により、高い接合強度を得ることが可能です!
こちらは農機具のクラッチなどに使われる部品です。
繰り返しの回転運動で力がかかるため、強度が必要です。
使っているうちに外れてしまう、といったことがあってはいけません。
こちらは計量器レバー部品。
従来はカシメのみで組立を行っていましたが、繰り返しの運動で外れてしまう問題がありました。
そこでチトセのろう付けをご採用いただき、課題をクリアしました。
上に示した例以外にも、強度が必要な部品の接合を行うことができます。
チトセでは創業後間もない1967年から約55年間、さまざまな部品のろう付けを手掛けてまいりました。
では、いかにしてろう付けは接合強度を得るのか?
そのメカニズムをご説明いたします。
なぜ強度が高いのか?
ろう付けが高強度を得ることができる理由は以下の2つです。
① 毛細管現象を利用しているため
② 接合界面に合金層が形成されるため
もう少し詳しく見ていきましょう。
まず ① についてですが、毛細管現象とは何なのか?
ざっくりご説明すると、毛細管現象とは「液体は狭いところを好む」という性質から起こる物理現象です。
ろう付けは、ろう材と呼ばれる母材よりも融点の低い金属を熱で溶かし、母材同士の間を繋ぐことで接合を行います。
溶けて液体になったろう材が毛細管現象によって母材同士の狭い隙間に流れ込み、その隙間を埋めるのです。
そして ② について。
ろう付けでは接合する母材は溶融しませんが、溶けたろう材の組織が母材に流れ込むことで合金層が形成されます。
これにより接合強度が高まります。
ではここで、当社で過去に行った接合強度の試験の例をご覧ください。
引張試験
こちらは当社でろう付けの接合強度を測定するため引張試験を行った際の写真です。
ろう付けで接合した部品を、両端から引っ張ります。
徐々に引っ張る力を強め、どれほどの力まで耐えられるか?という試験です。
すると、接合部より離れたところで 38kg⁄mm2 で破断しました。
つまり、接合部の設計などの条件によっては母材以上の靭性、耐震性、伸びを得ることができるということです。
※ 接合部の強度は仕様により異なります。
当社での接合強度を保証するものではございませんのでご留意ください。
以上の理由から、ろう付けは強度を要する部品の接合にも非常に適した加工法と言えます。
ご相談・御見積は無料ですので、高強度部品の接合でお困りの際はぜひお問い合わせください。
いかがでしたか?
今回はろう付けの特徴である接合強度の高さついてお伝えしました。
次回は今回の内容の続き、ろう付けの高気密性についてお伝えしてまいります。
それでは次回をお楽しみに!